子育て「ほどよい田舎」で人気の西都市

人口減少傾向の中、宮崎県では30~40代の流入は続いていて、2021年は全国でも第4位の「転入超過」となりました。豊かな自然や手厚い育児支援を求め、首都圏などからの移住が相次いでいます。自治体の誘致策に加え、今後は定住してもらえるよう物心両面での支援が人口減に歯止めをかけるためのカギになりそうです。

その中でも県のほぼ中心部にあり、日本最大級の古墳群を擁する西都市も移住・定住促進に力を入れています。21年は転入超過率が0.5%と、プラスに転じました。市が打ち出した移住・定住促進支援策が奏功しています。市によると転入者は「大半が子育て世帯で、半数が県外から」だということです。

移住・定住促進は「西都はじめるプロジェクト」と銘打ったプロジェクトの一環で、具体的にはホームページで移住した人の具体例や職業を紹介するほか、相談会・先輩移住者とのオンラインミーティング、現地の暮らしを体験できるお試し滞在ツアーを実施しています。

まちづくり支援施設の一角にあった移住・定住支援の事務所は21年夏に移転、独立し、「西都はじめる相談窓口」の看板を掲げました。実際に移住した地域おこし協力隊員が自分の体験を踏まえながら、親身になって移住希望者らの相談にのっています。

定住に向けた支援も手厚く、創業にあたっては最大160万円の補助金が出ることに加え、構想段階から創業後まで商工会議所や金融機関などと連携したサポートを受けられます。また、市の事業としてコワーキング拠点を開設し、リモートワーカーの支援もしています。市は暮らしに不便がない「ほどよい田舎感」が、移住の決め手になっているのではないかとみています。