民話や風習、動画・音声で保存 伝承サイト開設

夜神楽など宮崎県内で伝承されている地域文化の情報をインターネット上に集約して幅広く共有しようと、宮崎大学が4月1日、閲覧や検索ができるサイト「みやざき伝承プラットフォーム」を開設しました。過疎化や高齢化で消え去る恐れがある風習や言い伝えなどを動画や音声で一元的に保存する新たな仕組みで、住民からの資料提供も呼び掛けています。

サイトを開設した宮崎大学地域資源情報活用センターは、県内各地の年中行事や郷土料理、信仰、ことわざなどに関する資料を収集して活用し、これまで7000点以上の資料をデジタル化してきました。

昔は地域ごとに民話や風習などを受け継いできましたが、歴史を知る高齢者が亡くなると伝承が途絶えたり、貴重な資料と知らずに遺族などが廃棄してしまう可能性があり、一元的に保存・活用しようと立ち上げました。

サイトには現在、同センターがデジタル化した資料のうち約500点を蓄積、以下で検索すると動画などを見ることができます。

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また在野の研究者や伝統芸能の継承に取り組む若者らが活動内容などを記録し、閲覧者がコメントできる機能や、宮崎の民俗研究に携わった歴史上の人物を紹介する「研究者アーカイブス」も設けました。

一方、センターが地域住民に提供を求めている情報は地域文化に関する写真や音声、古文書などで、曽祖父母から聞いた昔話をスマートフォンで録音したデータや、各家庭に埋もれている写真などが貴重な歴史的資料となる可能性もあります。

今後はシンポジウムや集落ごとの談話会などを開いて情報提供を呼び掛け、各地に根付く伝承の掘り起こしを図り、資料は地域振興にも活用する方針です。

同センターでは「このプラットフォームを地域の伝承と向き合うきっかけ作りや議論の場として活用してほしい」と呼びかけています。