森中香織さん、歌会始等トリプル受賞

宮崎出身の森中香織さん(東京医科歯科大大学院分子発生学分野教室秘書・58歳)が、新春恒例の「歌会始(うたかいはじめ)の儀」の入選者に選ばれ、1月14日に皇居・宮殿の「松の間」において天皇、皇后両陛下や皇族方の前で披露されました。今年のお題は「本」。全国と海外から合わせて2万1000首近くの短歌が寄せられ、10首が選ばれました。以下、入選作品と森中さんの想いをご紹介します。

本棚に百科事典の揃ひし日に父の戦後は不意に終はりぬ
豊かさと言うものを享受しはじめた最初の出来事でした。本棚にそろった百科辞典(昭和42年発刊小学館ジャポニカ)の前にたつ父の満ち足りた嬉しそうな表情を思い出しました。

また、森中さんは、今年は他にNHK短歌コンクール全国大会(1月24日)で佳作、正
倉院短歌コンクール(1月31日)で奈良国立博物館館長賞を受賞されました。

産褥(さんじょく)の娘に作りたる白和えは母に習ひしレシピのままに(NHK短歌コンクール全国大会)
お題 和
去年の夏に初孫が生まれました。夏の事とて、毎日のように具をかえて白和えを作りました。ばあばは、ちょっとお味噌を隠し味に入れるのよ、娘とそんな会話をしながら。

方鏡の真中に千年屈まりし獣は一度も背伸びをなさず(正倉院短歌コンクール)
去年の正倉院展の出品の目玉の一つ方鏡。緻密で美しく一体千年の時が本当に流れているのだろうかとおもわせる逸品。真ん中の装飾の獣は背骨すら見えそうな緻密な作り。工芸品でありながら生命を感じさせるものでした。

今年の歌会始には、森中さんと大宮高校で同期の早下隆士さん(上智大学学長)も私立大学連盟推薦の代表者として陪聴されており、高校時代に机を並べて勉強していた同級生と偶然このような喜ばしい会に同席できて、嬉しさも倍増しましたとのことでした。
受賞後、お二人の当時のお仲間達とともに、喜びを分かちあったそうです。

森中香織さんと早下隆士さん